《小学校低学年・中学年向け》 【私の評価】★★★★★(100点)
小学三年生のひなこは、クラスの発表会で、「三枚のおふだ」というお話の劇をすることになりました。
ひなこは、控えめな性格で、目立ちたくないという思いが強く、セリフが少ない役を望みます。
ですが、いろんなことがあって、ひなこは、主役級の役をやることになってしまいました。
みんなで練習をしますが、上手くできないひなこ。
別の役にしてもらうように先生にお願いしようかと悩みます。
そして、家族やクラスの友人に相談しながらも、ひなこは役と向き合っていきます。
役を通じて、人間的にも成長していくひなこ。
小学校の日常ですが、そこに必要なもの全てが詰まっているような、そんな物語になっています。
中でも、ひなこの隣の席のげんちゃんは、とても面白い男の子です。
時として重くなりがちな物語を、げんちゃんの発言が、なごませてくれます。
例えば、大きな声が出せないひなこに、「おまえさ、ちゃんと、朝めし、食った?」と聞いたり。
やまんば役として「べんじょっていうセリフを言うのが嫌だし」と言うひなこに、「おまえさ、おれの役、知ってる? べんじょの柱だぜ!」と言ったり。
読み聞かせをした娘は、それを聞いて、思わず吹き出していました。
げんちゃんの面白くて、でも素直で温かい言葉。
「でも、柱がいなくちゃ、こぞうはにげられないだろう? 大切な役なんだぞ、べんじょの柱」
そんなげんちゃんの言葉は、本当に芯を突いていると思います。
大人が読んでも、グッとくる話。
読書感想文にも、もってこいの作品だと思います。
とってもお薦めです。
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