らんまん(NHK朝ドラ) 草花の素晴らしさ

気分転換

はじめに

「らんまん」は、NHKの朝ドラとして、2023年の4月から9月まで放映されました。

草花の研究に一心に取り組む牧野万太郎(神木隆之介)と、万太郎を献身的に支える妻すえこ(浜辺美波)を中心に描いた作品でした。

日本中の草花に愛情を注ぎ、こんなにも熱心になった人がいたなんて、知りませんでした。

そして、それ以来、道端の草花に、ふと目がいくようになりました。

ドラマでは、牧野万太郎とされていますが、モデルとなった実在の人物は、牧野富太郎です。

実在の牧野富太郎とは、どういう人物だったのだろう。

ドラマで描かれていた人は、本当はどのような人だったのだろうか。

ドラマを見終わった後でも、私はそれが気になりました。

そういう時に、一冊の本に出会いました。

大原富枝さんが書いた、「草を褥に 小説牧野富太郎」でした。

特に、ドラマをご覧になった方は、是非、お読みになると、感慨深いと思います。

「草を褥に 小説牧野富太郎」について

本書の作者は、大原富枝さんです。

作者の父が、高知県高岡郡佐川町の小学校で、牧野富太郎の教えを受けたことがあるようです。

本書には、牧野富太郎が妻おすえに書いた手紙の他、富太郎の当時の姿を撮影した写真なども掲載されています。

私は、小学館が発行している版を読みましたので、以下は小学館版のことをご紹介します。

(リンクとして貼ってあるのは、小学館版がなくて、異なるものですので、中身はそんなには違わないのかもしれませんが、お手数ですが事前にご自身でご確認いただければと思います)

写真について

特に、私が印象的だったのは、ボウフラを前に、満面の笑みで写真に写る、77歳の富太郎です。

お年を召しても、こんなにも可愛らしく、純粋な笑顔ができるなんて、素敵です。

富太郎が、生涯を通じて、草花という愛すべきものを得たことは、本当に素晴らしいことなんだと、うらやましく感じます。

もう一枚、富太郎という人物をよく表している写真があります。

79歳の富太郎が、草木に感謝して手を合わせる写真です。

敬意をもって草花に接していた富太郎の想いが、伝わってくるようです。

富太郎の写真のほか、妻おすえの写真、猶の写真も掲載されています。

ドラマで描かれた人の実際のお写真を見ると、本当にこの世にあったことなんだと、実感が湧いて、おすすめです。

牧野の植物画

ドラマでもたびたびでてきますが、牧野さんが書く植物画は、とても精巧で、牧野の飛びぬけた才能の一つと言えます。

本書では、実際に富太郎が書いた植物画も挿入されていて、その細かさなどに目を奪われます。

葉や実の形はもちろん、葉脈や根の張り方など、本当に生き生きと、そのままに描かれています。

ドラマと実際は同じ?それとも違う?

本書を読んで、ドラマと実際はほぼ同じでした。

牧野さんが酒屋の息子だったこと。

実家を継がずに草花に夢中になって、実家からの仕送りで東京に出て研究していたこと。

すえこと結婚したこと。

常に、金銭面で生活には困窮していたこと。

大学の教授とのいざこざがあったこと。

それでも、独学で、ひたすら草花と向き合って、新種の発見を次々にして、草花に命名していったこと。

そんな牧野さんを支援する人が、人生のピンチを金銭面で支えてくれたこと。

すえこが、標本の保管のために、待合茶屋で働き、牧野さんのために大きな家を買ったこと。

どれも、ドラマと実際(本書で書いてあること)は、そう大きな違いはありませんでした。

4ドラマとの違い(すえことの結婚は初婚ではなかった!)

全てドラマと実際が同じだったわけではありません。

本書を読んで、驚いたこともありました。

ドラマでは、猶(なお)は万太郎の姉でした。

しかし、実際はいとこで、富太郎は猶と結婚していたのです。

昔は、近親者で結婚した方が、血が濃くなってよいと信じられていたことが背景にあったようです。

そして、猶に実家の酒屋を任せて、自分は東京で研究に没頭し、駄菓子屋の娘、すえこと結婚してしまうのです。

ですので、ドラマでは万太郎はすえこと初婚として描かれていますが、実際は違うようです。

ドラマや実話を通して感じたこと

牧野さんを支えた女性たちの奮闘ぶり

牧野さんは、草花の研究に打ち込みます。

でも、それができたのは、実家を継いだ猶による支援があったから、そして、実家の酒屋が破産した後は、子育てと仕事を一手にこなす、すえこによる支えがあったからこそです。

今の時代からすると、ちょっとあり得ないですね。

なにせ、すえこは、十三人の子供を産み、6人を(おそらく一人で)育て上げたのですから。

そして、待合茶屋で稼ぎ、標本保管のために家まで建てた。

こういう人がいたからこそ、富太郎が草花の研究に一心となり、植物図鑑を作るという、大偉業も成し遂げられたのだと思います。

ドラマでもしっかりと描かれていましたが、富太郎と同じくらい、いや、それ以上に、富太郎を支えた女性たちの素晴らしさが、そこにはありました。

草花の素晴らしさ

冒頭にも書きましたが、このドラマを見て、そして本を読んで、周りの草花にも目がいくようになりました。

雑草というものはない。その一つ一つに名前がある。

草花を愛おしむ気持ちを、教えてもらったような気がします。

おわりに

実は、牧野さんに触発されたのかはわかりませんが、娘を連れて、少し遠かったですが、植物園に行きました。

いつもはさっと通り過ぎてしまうだけのところも、まじまじと顔を近づけて観察したりして、おもしろかったです。

娘も、サボテンコーナーで、一言にサボテンと言っても、本当にいろんな種類のサボテンがあることに驚いて、興奮していました。

日常で忘れがちですが、草花を楽しむということも、心の豊かさにとって大切なことだと改めて感じました。

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