ある夜、出張中の夫から、こんな電話がありました。
今日は夜に、LINEでテレビ電話するって、言ってたじゃない?
うん。そうだね。
夫は、娘の顔が見たいから、私のスマホあて、テレビ電話すると、娘に伝えていました。
それで、さっき電話したら、サチが出たんだけど、『忙しいから電話無理。じゃあね』って、激おこで切られたんだけどね。
小学校中学年のサチは、自立心が出てきたのか、最近はお父さん離れが進んでいるのです。
まあ、仕方ないよね。サチも宿題とか忙しいから。
でもね。サチはきっと、すぐかけ直してくるんじゃないかって思ったんだよね。
え? なんで?
きょとんとする私。
夫は、電話口で愉快そうに笑っています。
今日の午前中、あなたから僕にLINEのメッセージ、送っていたでしょ。
そういえばと思い、LINE画面を確認する私。
そこには、私から夫に宛てたこんなメッセージが。
『来月、姉家族がディズニーランドに遊びに行く予定で、サチも一緒に連れてってあげるって言われてるんだけど、行かせていい?』
10秒ぐらい待ってたら、案の定、サチからテレビ電話がかかってきたんだよね。
電話に出ると、サチは、きまりが悪そうに、もじもじしていたようです。
ねえ、お父さん?
ん?どうかした?
見たよ。
え? 何を?
ねえ、行ってもいい?
え? どこに?
だから、お母さんからのメッセージ。お父さんも見たでしょ!
夫はついに笑い出し、言ったそうです。
サチ、こんな時にだけ電話かけてきて。さっき、お父さんからの電話、ぶちって切ったじゃない。調子いいよね~
いいから。行っていいでしょ。ねえ、いいでしょ!
この後、夫は、いつものように、サチの強烈な圧に押し切られて、許可したとのことでした。
大人になると、プライドみたいなものを持ってしまって、こんなに調子よく変われないものです。
子供の素直な変わり身の早さは、どこか清々しく、心の底から笑ってしまいました。