『にぐるま ひいて』ドナルド・ホール(文)バーバラ・クーニー(絵)もきかずこ(訳)

読み聞かせ本(小学生)

《小学生低学年向け》 【私の評価】★★★★★(100点)

自然とともに生きる、ある家族の生活を描いています。

冬、春、夏を通じて、ひつじの毛をかりとり、糸につむぎ、編み物をします。

箒をつくり、野菜を植えて収穫し、かえでから樹液をとって煮詰めてかえでざとうをつくります。

そして秋になると、それらを一年の収穫物として、お父さんは10日かけて、市場まで荷車をひいて、市場に売りにいきます。

売ったお金で、生活に必要最小限のものを買って、また一年を暮らします。

素朴ですが、とても豊かさが感じられる物語です。

本作品は、全国学校図書館協議会選定図書など、様々な選定図書・推薦図書に選ばれていますが、納得です。

外国の作品ですが、この物語を読むと、どこかで憧れてしまう自分を感じます。

少し話は脱線しますが、日本人には、古来から「わびさび」という美意識があります。

難しい話はわかりませんが、人はこれがほしい、あれをしたいと思えばきりがなく、どこまでいっても満足することはできません。

「わびさび」とは、足るを知り、身の丈に合った生活をしていくことが本当の豊かさだということを表していると理解しています。

そういう日本人の品性・意識の原点に、この作品は立ち返らせてくれると思います。

お子さんと一緒に、何気ない日々の暮らしと家族の大切さを感じられる作品ですので、おススメです。

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