第2話 お墓についての誤解(その1)
私は、お墓について、大きく2つの誤解をしていました。
- お墓は、長男が継ぐのが当たり前。
- 親のお墓に長男家族が入ったら、次男家族は入ることはできない。
自分で調べたり、専門の人に話を聞いてみた結果、いずれも誤りでした。
順にご説明します。
お墓は長男が継ぐのが当たり前?
結論から言います。
法律上、お墓は長男が継ぐものとは書いてありません。
継ぐ人が継げばいいのです。
そうは言っても、お墓は長男が継ぐという昔からの慣習があるでしょと思う方もいらっしゃると思います。
実は、昔は、お墓を継いだのは、長男ではなく、末っ子が多かったようです。
お墓を継ぐのは長男であるべきだという固定観念に縛られる必要はないのです。
<もう少し詳しく>
お墓は、「祭祀財産」と言い、代々、一人の人が継ぐ財産とされています。
一方で、お金は不動産などの財産は「相続財産」と言って、相続人が分けて相続します。
そして、お墓は代々、長男が継ぐべきものだという考えが広くあります。
では、法律にそのように書いてあるのでしょうか。
民法第897条
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主催すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主催すべき者があるとこは、その者が承継する。
「慣習に従って」とあるので、慣習的に長男が継ぐということが正しいと思われるかもしれません。
ですが、この民法は1948年に施行されており、当時は「慣習に従って」承継することが多かったのは、長男ではなく、実は末っ子だったと言われています。
昔は土葬が多く、親が土葬された場所に一番長くいるのは末っ子だったから、末っ子が墓守になることが多かったようです。
それから時代が経つにつれて、日本でも、土葬から火葬に変わりました。
昭和50年頃でも、5人に1人は土葬でしたので、火葬されるようになったのは、比較的最近です。
今のように、「先祖代々の墓」や「〇〇家の墓」という墓石を立てた墓ができたのは、火葬されるようになったことで、一か所の限られたお墓の場所に複数の遺骨を納骨できるようになったからです。
そして、「先祖代々の墓」や「〇〇家の墓」というように、「家」の名前を墓石に刻むようになったことで、明治時代の「家」の考え方(長男が家を代々継いでいく)が持ち出され、お墓は長男が継いでいくものという考えが広まったのだと思われています。
以上のように、法律上、お墓は長男が継ぐものとは書いてありませんし、慣習的にも昔から長男がお墓を継いできたわけではありません。
お墓を継ぐのは長男であるべきだという固定観念に縛られる必要はないようです。